マルチチャンネルとステレオアウト
2chすなわちステレオアウトの音源の音作りについて書こうと思っていたが、その前にまず、なぜステレオアウトなのかについて。
ステージで音源鳴らしてライブ演奏する方法として、
- ステージにマルチチャンネル出力可能な機材を持ち込んで、各チャンネルを直接PA卓に接続
- ステージにマルチチャンネル出力可能な機材とミキサーとを持ち込んで、各チャンネルをミキサーにて自前でステレオアウトに落としてPA卓に接続
- 予めステレオアウトで作成した音源を直接にPA卓に接続
の3つの方法があると思われる。
これらの方法のうち、1と2は、クリック音を別途出力可能で(まあ、それなりのシステムが必要だが)、ライブハウスに合わせた音作りが可能である利点がある。
一方で、1と2は、マルチチャンネル出力可能なレコーダ、もしくは、PC+マルチチャンネル出力可能なオーディオI/Fが必要となり、機材の運搬、ステージでのセッティングにおける負荷が大きい。特に2は、ミキサーを持ち込む必要があり、それ用のスタッフがいない限り、困難が伴うものと思われる。
また、1と2の場合、PCを用いると、トラブルの種になり兼ねない。実際に、ステージ上でPCがハングアップして演奏が中断される、という事態が発生したという話も時折、耳にする。このテのトラブルは、特に海外のライブでは致命傷になりかねない。
PSYDOLLでは、ステージ上でのトラブルは可能な限り避けたい、という点と、運搬その他の準備を必要最小限にしたい、という観点から(これは主にツアーに向けた視点であるともいえる)、ステレオアウト一択だった。
これらを勘案して、トラブルフリーと運搬性を優先した結果、音源はステレオアウトとし、R-1を再生機とする構成に決定したわけである。
ところで、ステレオアウトで音源を再生するとなると、現場に合わせた音作りというのが非常に難しいという問題がある。
マルチチャンネルの場合、キック、スネア、ベース、その他、など分けてPA卓に送ることができ(上記1の場合)、PAエンジニアにしっかりお願いしておけば、ステージ上で思った音が出せるだろう(ただし、リハにそれなりの時間が必要になる)。これは上記2も同様。
一方で、ステレオアウトの場合、キックやベース、スネアといった音を個別に調整するのは、極めて困難である。「キックのアタックの帯域を少し上げて」とか「低域がブーミーになりすぎるので、低域カット」くらいは可能だけれど、2MIXだと意図しない音にまで影響が及ぶので、PA卓での調整には限界がある。
如何にしてステレオアウトでステージ映えし、且つ汎用性の高い音を作るか。この点に腐心するわけである。
というわけで、次は自分流音源制作の各論について、書いていこうと思う。
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