Beat Track まとめ
前回までで、やっとKick, Snare, Hi-Hat, Bass まで終了し、今回は、これらを纏めてBeat Trackを作成するわけだ。
実際には、さらにメタルパーカッションや、ノイズ音源などが入ったりすることもあるが、いずれもイレギュラーな要素のため、ここでは割愛。
Beat Track 作成は、基本的には、上記のKick, Snare, Hi-Hat, Bass に対して2Mix を施す処理となる。具体的には、Bus トラックを1本作成し、作成したBus トラックにKick, Snare, Hi-Hat, Bass を出力して、2Mixする。
2Mix なので、各音源のバランスが重要となる。ライブにおいては、腹にくる音を十分出すと共に、ギターやキーボード、ヴォーカルの演奏に必要な刻みを明確に出す必要がある。
そのため、まずはKick の音量を決める。Kick 音はエネルギーが大きいため、最初に決めておかないと、後にレベルコントロールが困難になる。
次に、Kick を聴きながら、Snare の音量を調整する。Snare は、油断していると、全体を2Mix した際に埋もれてしまうので、大きめにする。必要なら、EQ も再調整する。例えば2KHz くらいにピークを作り、それでアタック感を強調する、など。
Hi-Hat は、PSYDOLLの場合はこれで曲のビートを把握している。そのため、少し大きいかな、くらいの音量とする。特に、轟音歪ギターが演奏で入る場合、Hi-Hat をある程度出しておかないと、ステージでビートを見失うことになること請け合い。
最後にBass 。Bass は、Kick+Snare+Hi-Hat に対して少し小さいかな、くらいの音量とする。当然だが、ライブハウスのPAシステムは、自宅で聴くより遥かに低音が出るので、自宅のシステムで十分なくらいに音量を上げてしまうと、いざライブのときにBass 出過ぎ、という事態になりかねない。もっとも、自宅でライブハウス並みに低域をモニタできるのであれば、この限りではないが。
自分の場合、レベルメータ表示でKick がフルになっている場合、Bass はレベルメータが3割程度の振れになるようにして、ちょうどよい感じになっている。
ここまでの過程で2Mix されたBeat Track は、こんな感じとなる。
ここで、この2Mix に対して、さらにコンプを掛ける。また、必要に応じてEQ調整も施す。こんな感じである。
ここでは、コンプにUAD-2 のFairchild 670 を用い、ループのKick を強調する(と思う)プリセットを少しアレンジして適用している。Kick とBass がいい感じに分離し、且つ、適度に主張するようになり、グルーブ感が出るような気がしている。
EQ は、後の最終仕上げの段階で改めて調整するので、この段階では、軽めにかける。自分は、Kick のアタックや、Bass の低域がやや足りないと感じたときに、補助的に使用している。
このコンプやEQ にアナログ回路をシミュレートしたプラグインを用いることで、音量とは別の観点からBeat Track の存在感を強調することができるのではないか、と感じている。
上記の2Mix 音源に対してコンプ、EQ を掛けると、下記のリンクのようになる。
なお、Beat Track の2Mix を実行する際に、曲の構成によっては、Hi-Hat のTrack にコンプを掛けない方が良い場合がある。例えば、全体的にパワフルな曲の中に、Hi-Hat のみになる部分がある場合、コンプの掛け方次第では、その部分においてHi-Hat が無用に強調されてしまうことになる。このような場合、Hi-Hat のTrack にはコンプを掛けないようにすると良い。
Beat Track の2Mix が出来上がったら、次は、ストリングスやシンセなどの調整を行い、全体の2Mix 、さらに、全体の2Mix に対するマスタリング処理となるわけだが。